子鍵から電気錠システムまで
窓・サッシやベランダの防犯対策。空き巣の⼿⼝とは
コロナ禍において、空き巣をはじめとする侵入窃盗犯罪の増加、そして防犯対策の強化が叫ばれて久しく、玄関やその鍵の見直しも増えています。しかし、じつはそれだけでは大事なことが見過ごされています。侵入窃盗は空き巣だけでなく、居空きや忍び込みなどは玄関だけでなく、窓を狙うケースも。そこで今回は、窓やベランダまわりの防犯対策を考えてみましょう。
侵入窃盗(空き巣、居空き、忍び込み)の現状
侵入窃盗には空き巣以外に、「忍込み」「居空き」といった、「空き巣」とは区別された犯罪があります。「空き巣」は、家人等の不在時に侵入することで、「忍込み」は夜間の就寝時に、「居空き」は昼間の家人の在宅時に侵入する犯罪です。
令和元年の警視庁の侵入窃盗の手口発生状況に関するデータによると、「空き巣」が全体の約40%に対し、「忍込み」と「居空き」で約14%と、不在時と在宅時の割合は3:1で、意外に在宅時も多いことがわかります。
というのも、侵入窃盗犯罪の手口で最も多いとされるのが「カギの空いているところから入る」で、いかにも音がしそうな「ガラス破り」や「ドア破り」と違い、家人が在宅していても静かに侵入することがあるようです。「カギの空いているところから入る」とは、いわゆる「無施錠」といわれ、家人がいるから、暑いから、コロナ禍の昨今では空気の入れ替えなど、いろいろな理由がありますが油断は禁物です。
侵入窃盗で注意すべきは玄関だけではありません。2階建て以上の戸建の場合、侵入窃盗の約90%は「1階居室の窓」から入るという報告もありますし、集合住宅の場合、足場になるものが近くにあったり、潜めば体が隠れてしまうベランダなど侵入者の死角になりそうな場所の「窓」が狙われやすいことが伺えます。1階だけが危ないわけではないようです。
窓からの侵入窃盗の防犯対策
窓からの侵入の場合、最も気を付けるべきは「無施錠」。窓を開放して換気をしたり、出入りが必要な際を除き、意図せず無施錠な状態を作らないことが大切です。
また、犯罪者が心理的に嫌う4つの要素「時間・目・音・光」に対応する手段を講じることがポイントとされ、「防犯の4原則」といわれています。これらの要素を効果的に組み合わせ、空き巣に狙われにくい家にすることが大切です。
1ドア2ロック(ワンドアツーロック)
玄関同様に1か所の窓に鍵を複数設置する「1ドア2ロック」などを検討してみましょう。
侵入するまでの時間を長くすることで抑止効果が高まります。
音や光で威嚇するセンサーを設置する
センサーライトや音センサーの設置も有効です。音や光は侵入者への威嚇にもなりますし、周囲へ異変を知らせるサインにもなります。また、上を踏んで歩くとジャリジャリと音がする「防犯砂利」も効果的です。
足場になるものや死角を作らない
侵入者は周辺の構造物を利用したり、上階からつたって下りてくる「下がり蜘蛛」と呼ばれる手口を使ってくることがあります。足場になるようなものや、隠れ場所になる死角がないか確認し、そういったものは置かないようにしましょう。
カメラ付きインターホンや防犯カメラを設置する
一般的に空き巣は「事前に下見をする」といわれており、顔や容姿を見られることを嫌います。インターホンは録画機能が付いているモデルが多数流通していますし、防犯カメラも顔や容姿を記録する「目」として有効です。
窓自体の防犯性を高める
たとえば、ガラス破り対策だとガラスを割れにくくする「防犯フィルム」や「防犯ガラス」が代表的です。あるいは窓用防犯格子を室内側に取り付けることも有効です。窓用防犯格子の場合、視覚的にも抑止効果が高いため安心して換気・通風も行うことができ、犯行を諦めさせる効果も高まります。
※ガラスにワイヤーが入った網入ガラスは防火性と飛散防止を目的としたもので、防犯用ではないことに注意が必要です。
窓の位置は戸建てや集合住宅、環境による違いもありますし、それぞれリスクも異なります。
目に見える防犯対策が大切であり、侵入者から狙われやすい、あるいは諦めやすい環境作りが重要です。これらご紹介したことを参考に、ご不明な点や対策を検討している方は、専門のプロに相談してみることをお勧めします。