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通⽤⼝・勝⼿⼝の防犯対策

住まいと暮らし
2022.1.14

通⽤⼝や勝⼿⼝も注意しよう。侵⼊から守る防犯対策

警視庁の調べでは、秋から冬にかけて侵入窃盗犯罪のピークのようです。侵入窃盗(居空き、空き巣、忍び込みなど)に対する防犯としては玄関や窓に着目しますが、一方で見落しがちなのが「住居やビル・テナント裏手の通用口・勝手口」「非常口」「建物の死角」などです。今回は、玄関ドア、窓の次に対策したい侵入口の防犯対策を考えてみましょう。

侵入窃盗の侵入手口と侵入口

侵入窃盗の侵入手口と侵入口

いわゆる「泥棒に入られる」、つまり侵入窃盗被害は、犯罪の手口には居空き、空き巣、忍び込みの3つがあります。よく知られる「空き巣」は住人が不在の時に入る窃盗犯罪で、警視庁による「令和2年の犯罪」という統計では、侵入窃盗犯のもっとも多い手口として全体の約66%を占めています。

片や、「居空き」は住人が在宅時に侵入する窃盗犯罪で、住人が就寝中である場合に「忍び込み」と分類します。在宅時を狙うのは大胆不敵ですが、住人がいつ帰宅するかわからない空き巣に比べて、寝ている場所や集っている部屋など住人それぞれの行動を把握して犯罪を実行できる空き巣や忍び込みのほうが泥棒にとっては都合がよいようで、その割合も3割強と侮れない、注意すべき犯罪です。

また前述の警察庁のデータによると、戸建て住宅・集合住宅の約50%が無締り(無施錠)の箇所からの侵入となっており、侵入手口としても無締りでの被害が最も多くなっています。

この無締りには、ドアの鍵破りや合鍵を使った侵入、その他無理やりドアや窓を開けたものは含まれていません。また、玄関ドアや窓だけではありません。今回注目する非常口や勝手口、通用口も含まれています。住人がついうっかり施錠を忘れた、もしくは在宅時で換気やその他の理由で意図的に開けていたところから侵入されたことになります。それが玄関や窓だけでないのは想像に難くありません。統計にはありませんが、むしろ玄関ドアを閉め忘れるケースよりも、人目につかないことや、すぐに戻ってくるからとか、面倒だからと勝手口や通用口を閉めずにそのままにしてしまうことも少なくないのかもしれません。

それがオフィスや店舗が入るテナントビルの共用の通用口となると、従業員をはじめ不特定多数の人が使うことになります。次の人のためとか、すぐに誰か通るだろうと気を利かせたつもりで、施錠せずに使用することも多いのではないでしょうか。

戸建ての勝手口、共同施設の非常口や通用口などは、防犯上の死角といってもよいかもしれません。

勝手口、通用口、非常口の防犯強化策

勝手口、通用口、非常口の防犯強化策

勝手口や通用口・非常口にも、玄関ドアや窓と同様に防犯対策が大切です。



防犯設備の強化

具体的な対策として、すぐにでも実施できるのが防犯設備の強化です。メインの鍵1つしかない場合は、玄関の対策と同様に補助錠を取り付けて「1ドア2ロック」を実施しましょう。補助錠を設置する場合は、CP錠をお勧めします。


接近を制御する

「接近の制御」とは、物理的な境界を設置し、敷地や建物への不審者の接近を防ぐことです。例えば、道路と敷地の境界線を明確にし、門扉やフェンス、オートロックシステム等を設置して敷地内への侵入を防ぐなど。塀や柵を越えるための足場になるような物の撤去、もしくは置かないよう心がけることも大事です。


監視性を確保する

「監視性の確保」とは、人の目が行き届くような環境をつくることです。
例えば、街路や窓からの見通しは良いか、外周から敷地内を見通せるか、植木がある場合は剪定して屋内からの見通しを確保するなど、まさしく人の目が行き届く環境を整えることが重要です。また、防犯カメラや夜間用としてセンサー付きライトを設置するなど、人以外の「目」にもさらされることで窃盗犯が隠れることができず、侵入しづらくすることも効果的です。



領域性を確保する

「領域性の確保」とは、住宅やその周辺の維持管理状況、地域の住民の相互活動や交流などにより、部外者が建物を含めた一定のエリアに侵入しにくい雰囲気を形成することです。とくに集合住宅は領域性を確保することが難しい環境であることも多く、できるかぎり平素からご近所同士であいさつや声掛けを励行し、交流を深め、地域や建物が協同して防犯活動を行うことが望ましいとされています。
オフィスビルや店舗、テナントなどでは施設関係者同士の交流(あいさつなど)や注意喚起の張り紙、連絡も大切です。

すぐにすべての防犯対策を実行することは難しくても、防犯意識の高さを示すことで、侵入窃盗犯に狙わせないこと自体が最大の防犯対策です。環境や設備などによりさまざまな対応もございますので、検討、実施の際は防犯のプロに相談することをお勧めします。
「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。