子鍵から電気錠システムまで
災害大国ニッポン!非常時の防犯設備とは
水害、地震などの自然災害が多く、またそれに連鎖した火災など、日本が有数の災害大国なのはご存じの通りです。さまざまな対策がある中、厄介なのは、それら災害がいつやってくるかわからないこと。今回は、災害時や非常時を想定した災害大国ならではの防犯について考えてみましょう。
災害は、大規模施設だけでなく、中小規模施設やオフィスビルの店舗や事務所にも分け隔てなく被害を与えます。それは、いつ、何時に、どの範囲で起こるかわかりません。
災害対策というと防犯グッズや避難経路の確保、家族でのルール作りなど、外出中や就業中にどうやって家や避難場所までたどり着くかというような内容が多いようですが、オフィス、店舗、施設にいる時のリスクは、管理している側の責任と分けて考えるのか、あまり言及されることがありません。しかし、人が集まっているビルや施設から地震や火事が発生した際に、どうやって避難するかは管理会社の防犯対策と責任にかかっています。
ビルや施設で怖いのは、地震の揺れや火事の炎だけではありません。避難口やそこまでの導線上にある扉に鍵がかかっていて、焦って開け方がわからなくなったり、停電で手もとが暗く鍵穴に鍵が入らない・操作ができないなど、そういった非常時ならではのパニック状態が怖いのです。だからといってパニックになるな、なるべく落ち着いてというだけでは解決になりません。がっちり鍵がかかっていて火事場泥棒は避けられても、解錠できず逃げ遅れてケガをしたり、命の危険にさらしたりしては元も子もありません。もちろん、そのような状況が想定される場合、錠前メーカーや鍵のプロフェッショナルも、パニック状態に対応する防犯設備を提案しています。
災害を想定した防犯面の備え
非常時の施錠については、消防法でも定められており、パニック状態が想定できる非常時は無理なく解錠できる備えが必要です。
市町村によって記載内容は異なりますが、火災予防条例では「非常時に自動的に解錠できる機能を有するもの又は屋内からかぎ等を用いることなく容易に解錠できる構造であるもの」と非常時の設備について定めることが多くあります。
つまり、非常時に解錠できない錠(鍵)は付けないようにし、防犯設備を備えるということです。
自動で解錠できる機能を付けた防犯設備や非常錠にはさまざまな種類があり、火災報知器連動した錠前システム、水圧解錠、停電時解錠、電源不要な錠前などがあります。火災報知器連動とは、火災報知器が稼働すると鍵の解錠や開扉状態になる装置のことです。水圧解錠は、火災の際などホースによる放水の水圧で解錠するものです。停電時解錠(通電時施錠)は、停電により電流が止まった際に解錠状態になる仕組みのもの。さらには電源不要でかぎ等を用いることなく解錠できる錠前だったり、押すだけで解錠や開扉できるものなどもあります。
災害時のために普段からの心構え
管理する物件に関し、災害時のために防犯設備を用意する、またはすでに用意している場合、普段からどのようなことに気を付ければよいでしょう。
非常時用の防犯設備が設置してあることはもちろん、それら設備の機能や操作方法を管理物件の利用者、顧客などに案内し周知させることは重要です。定められている誘導サインの意味や使い方なども含め、ポスターや案内板などを用意・掲示したり、普段から意識してもらうように工夫しましょう。
また避難場所の指示や掲示も同様に重要です。どなたにもわかりやすい避難マップなどを作成するのもよいでしょう。
さらに、いざという時に正常に稼働できるように普段は使わないものでも定期的な点検や整備を実施し、突然の災害時の準備は怠らないようにしましょう。
避難口を開けっ放しにしたり、扉周辺・避難経路に障害物があると、防犯上のリスクを生んだり、せっかくの非常設備や装置も使えないことがあります。管理者はそれらを日頃から確認し、また利用者にも注意喚起を欠かさないようにしましょう。
これらの他にも、物件それぞれの特性や課題があるはずです。年に一度程度、第三者によるアドバイスや点検を受けるのもよいでしょう。とくに非常錠の点検・修理・交換の場合は、ぜひ鍵のプロにご相談ください。それぞれの物件や環境、特性に応じた提案も受けられます。